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休みの日も地元でゆっくり。西宮の週末の過ごし方を紹介します。

こうすけの 甲山山麓紀行

 一年の季節のうちでは晩秋がもっともよろしい。

 読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、それに食欲の秋。秋の食卓には美味しい物が並び、冬眠する訳でもないのについつい食べ貯めてしまいます。そして晩秋には楽しいお正月がまもなく来るのだという期待感で心躍るです。
 家の近くの公園の木々もすっかり色づいています。公園から駅までの通りの銀杏の木も鮮やかな黄色に変わりました。

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公園の木々もすっかり色づきました。



 春には満開の桜が咲き誇る夙川ですが、今は渋い赤色の葉に彩られています。ただ松の緑と甲山の山容は季節がいつであろうろと変わることはありません。

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晩秋の夙川。



 阪急電車の夙川駅からバスに乗って甲山方面に向かいます。バスは県道をグングン登っていきます。本日は好天で北山緑化植物園を訪ねる人も多いようです。その後もバスは坂道を登り続け、鷲林寺あたりで周囲はのどかな田園風景になります。

 甲山高校のバス停でバスを降り、県道を少し北に歩くと目の前に黄色に色づいた社家郷山が屏風の様にそびえたちます。うむうむ、見事じゃ。盤滝トンネルに続く高架橋からならなんの障害もなく黄色い山を目にすることができそうですが、歩行者は通行禁止とのこと。車がうらやましいです。

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屏風のようにそびえたつ黄色い社家郷山。



 仕方がないので側道に入り甲寿橋に向かいます。ここからは間近に山を見ることができるのですが、近すぎて山全体が見えず迫力にはやや欠けます。とはいえ、山の色の美しさを満喫できます。うむうむ、見事じゃ。そしてもうすぐ冬がやって来てこの山も眠りに入るのでしょう。

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美しい秋の山の色。



 甲寿橋でくるりと方向転換して南へ歩きます。甲山高校のバス停の前を過ぎ、県道から脇道に入ります。畑の中の脇道からはお椀をひっくり返したような甲山が秋の青空の下にどんと鎮座しております。

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お椀をひっくり返したような甲山。


 
 道中には「水口栄二の野球教室 野球心」というのがあって覗いてみます。水口栄二氏は近鉄バファローズで活躍した元プロ野球選手で、松山商時代甲子園で大会中に19安打をかっとばし、大会最多安打記録の保持者であります。テント屋根の練習場からはバシッ、バシッと乾いた音が響いております。将来のプロ野球選手の卵のピッチャーがコーチの鋭い視線を受けて投球を繰り返しています。あのキャッチャーミットにボールが収まる瞬間の音を聞くと、何もしてないのに左手がしびれてきます。

 野球教室の近くには乗馬クラブもありお馬さんがパッパカ駆けております。馬は食べたことはあるものの乗ったことはありません。馬に乗ったことはないものの、幼い頃阪神パークに行けば必ずポニーには乗っておりました。阪神パークでは急流すべりとミニSLも欠かしませんでした。なつかしいなぁ。また、自宅の近くに乗馬クラブがあって小学校の帰りによく眺めていたものでした。

 お馬さんが駆ける様子を見ていると昔のことが思い出されます。これを「走馬灯のように思い出す」というのであります。こうすけの 甲山山麓紀行_b0305811_17485542.jpg 

















お馬はみんなパッパカ走る。



 このあたりには貸農園が多くあります。そんな中「この牛糞は当農園の物です。関係者以外は使用禁止」と書かれた看板が目に入ります。牛糞を盗む人もいるんですね。畑に携わらない者にしては驚きです。私ので良ければいつでも提供するのですが。

 バス道を横断し、北山貯水池の西側の遊歩道に向かいます。遊歩道近くの畑では農家のおじさんが農作業中です。


 こうすけ     「何を植えるのですか?」

 農家のおじさん  「玉ねぎや。今植えて収穫は桜の咲く頃やろな。」

 こうすけ     「けっこう長い時間かかるんですね。」

 農家のおじさん  「そうやで。食べる人は何も考えんと食べとるけどな。収穫までには手間も時間もかかるんやで。」


 おっしゃる通り!!みなさん感謝して食事いたしましょう。


 こうすけ     「お米は作らないんですか?」

 農家のおじさん  「米はなぁ、、、。買った方が安いやん。それにここらの土が水田に向いていないんよ。」


 なるほど、なるほど。そんなこんなの話をしていたらお腹がすいてきました。

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「玉ねぎを植えるんや。」



 北山貯水池の岸の遊歩道をしばらく歩くと大きな広場に出ます。そこからは貯水池の水にその姿を映した甲山が佇んでいます。この山は私達西宮市民にひろく親しまれているのですが、それは丸く優しい山容もさることながら、どこから見ても同じように見える公平さに由来していると思います。

 人も同じで誰に対しても同じように接する公平さは大切。中には人によって態度を変えるならず者もおりますが、そのような人種を友人に持ってはいけません。私達西宮市民は甲山を眺めるたびに自身が公平であるかの心のチェックをいたしましょう。

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丸く優しい甲山。



 北山貯水池からは神呪寺に向かいます。甲山大師とも呼ばれる真言宗寺院の神呪寺は、淳和天皇の勅願により天長5年(828年)に創建されたという歴史ある寺院です。一瞬お参りするのを止めようか思わせる長い石段を一段一段のぼり本堂に向かいます。

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本堂に向けて長い石段が続きます。



 本堂前の展望台からは大阪方面の大パノラマが拡がります。梅田の高層ビル群にあべのハルカス、彼方には生駒のやまなみが続きます。手前には武庫川の松並木が家々の中に緑の線を引いています。飛行機がそこに着陸していくので大阪空港の場所もハッキリわかります。

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神呪寺よりの大パノラマ。



 神呪寺には昭和33年落慶の高松宮殿下御撞き初めの釣鐘があって、20円で誰でも撞くことができます。よし、わたしも撞いてみようということで財布を見ますと、10円玉はなくあるのは50円玉。寺務所に行ってお釣りをもらうのもなんだか恥ずかしいので、泣く泣く50円玉を柱につけられた箱に入れます。これを「釣鐘(つりがねぇ~)」というのであります。

 ゴ~~ン~~~

 30円分の余韻が空に消えていきました。



 長い石段を下り門前のお茶屋さんに入ります。昭和の香りがプンプンするお茶屋さんです。

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昭和の香り漂う門前のお茶屋さん。



 お茶屋さんの南側には昔大阪市電があって草に覆われています。幼い頃よりなんでこんな所に電車があるのか気になっていたので、お茶屋のおばちゃんに訊いてみますと。


 お茶屋のおばちゃん    「あれねぇ、死んだおじいさんが市電が廃止になった時かわいそうや言うて買ってきはったんよ。13万で買うて、50万かけて運んできはってん。アホやろぉ。」


 アホでもいいじゃないですか、30円のお釣りに泣くようなケチよりはだいぶましですよ。

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草に覆われし大阪市電。



 店内も昭和の雰囲気に包まれていて、「コーク、好きっ。」とはにかむ早見優のポスターには「コカコーラは1984年ロサンゼルスオリンピックの公認清涼飲料です。」との文言が。100メートル走でカール・ルイスがぶっちぎり、柔道の山下泰裕が金メダルに涙したのも30年前の話。

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「コーク、好きっ。早見優」


 お茶屋さんに先客がいましておじいちゃん8名のグループ、山登りのグループでしょうかリュックサックをお店の前に置いて店内で酒盛り中です。誰が一番頭の毛が薄いのか等他愛もない話が続けばいいのですが、いつの間にか話題は南京事件の真相や日中戦争の大義についてに変わります。酒が入ってそういう話題になるとよろしくありません。激論がはじまりお茶屋さんの中はどんどん険悪な雰囲気に。おいおい喧嘩になるんじゃないかとハラハラしておりますと、きれいなハゲ頭の上杉さん(仮名)が紅葉、否高揚して輝く頭を真っ赤にして立ち上がって曰く、


 上杉さん       「もうそんなんで喧嘩したらアカン。もっとスケベな話しよ。スケベな話!!」


 場を和ませようと思っているのか、火に油を注ごうとしているのか全くもって不明ですが、上杉さんは「スケベな話」を連呼。私は思わずすすっていたうどんを口からはきだしてしまうのでした。その後も上杉さんの思惑に反し、歴史認識を巡る議論は収まらず、やけのやんぱちの上杉さんはその後も下ネタを連発。上杉さんのような人種を友人に持つべきかどうかは永遠の謎であります。

 勘定を済ませ、果てしなく続く議論を横目にお茶屋さんを出ますと、

 ゴ~~ン~~~

 スケベな話に固執する上杉さんの煩悩を取り除くべく鐘が撞かれました。

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お茶屋さんではきつねうどんをいただきました。




http://n-cci.or.jp/sakuranavi/




 



 
 





by nishinomiyacci | 2014-11-22 21:30